Ⅳ. a snowy day ♯6

文字数 550文字

 時刻はすでに十六時をまわっている。

 商店街は年越しの準備で来ているであろう沢山の人で賑わっていた。呼び込みの声や年末の抽選会などで響く鐘の音がそこかしこから聞こえてくる。

 お店に入ると、さっさと料理酒を手にしてレジに並んだ。みんなかご一杯に商品を詰めていて、どのレジも行列だ。それを若いアルバイトらしき人達が必死にさばいている。

 列は中々進まない。持て余した時間は考えごとが捗る。


 ――浅桜くん、今頃なにしてるかな……?
 年末は部活も休みだって言ってたけれど、今日は家で家族と過ごすのだろうか。


 毎日メッセのやりとりばかりだから、たまには声が聞きたいなと思う。だからといってすぐに電話できる勇気があるなら、恋愛にこんな苦労はしないけれど。それに年末なんだから、きっと部活がなくても忙しいだろうし。

 そういえば、ルカさんは学生っぽくないけど社会人っぽくもないし、どこでなにをして暮らしてる人なんだろう。

 ていうか、あんな髪色でちゃんとした職に就けるのだろうか? バーテンかホストとかならありえそうだけど。それとも売れない歌い手とかバンドマンだったりして。だとしたらちょっと嫌だ。

 じゃあデザイナーや美容師って線も……いや、ないない。そもそもあの人がちゃんと働いている姿なんて、失礼だけど想像できない。

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