Ⅶ. the sprouting love ♯10

文字数 484文字

 日曜日は朝食を食べるとすぐに瑞花の家を訪れた。

「今日はよろしくお願いします」

 持参したエプロンを身につけて、結花さんに小さく頭を下げる。事前にオペラの作り方を調べてみてはいたが、かなり大変そうだった。素人のわたしがほんとうに作れるのだろうか。

「はーい、頑張ろうね」

 わたしの緊張とは裏腹に結花さんの返事は軽い。さすがプロ志望。

「わたしはもっと簡単なものでよかったのに」

 瑞花が億劫そうにぼやきながら、エプロンを準備する。

 通常のデコレーションケーキなら生地さえ出来てしまえばあとはクリームやフルーツをデコレーションしてほぼ完成だけど、オペラは生地を焼いたあともクリームやガナッシュを全部手作りしていかなければならないので、とにかく手間がかかる。なので役割分担を決めて各々が担当作業に取りかかることになった。

「今回はビスキュイジョコンドって生地を作るんだけど、そこはわたしがやるね。ふたりには上に重ねていくクリームとシロップをお願いしようかな」

 言われたとおり結花さんが生地を作る間に瑞花がコーヒーシロップを作り、わたしはコーヒーバタークリームとガナッシュを担当した。

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