Ⅱ. whereabouts of blood ♯16

文字数 500文字

 瑞花の部屋に入ると、ローテーブルの横にいつものクッションを用意してくれた。

「今日さ、ネットで見たんだけど……」

 コートを脱いで腰を下ろしたわたしに、瑞花がノートパソコンを向ける。

「これ、緋莉の家の近くだよ。緋莉も気をつけてね」

 画面を覗くと、そこに書かれたニュースの見出しに心臓がぎゅっと縮んだ。


【夜の緑地公園、男女五人殺害】


 淡々とした文字の羅列と共に、緑地公園を空撮した画像が載せられている。体から血の気が引いて頭がくらりとした。

 あの場に居た男は銀髪さんも合わせて五人。しかし殺害されたのは男女五人と書かれている。野次馬も『女の子も殺された』と口にしていた。だとしたら、やっぱり昨夜の件と繋がりはないのだろうか。

 思っていたよりもずっと大きくて残酷な事件。わたしは無関係だと頭の中で強く唱える。

 だけど――。

 慌てて画面から目を逸らしたが、わたしはまた吐き気を催し、瑞花に断りも入れずにトイレへと駆け込んだ。

「えっ? ちょっと緋莉! 大丈夫?」

 瑞花がドアの前から声をかけてくれる。これ以上心配をかけるわけにはいかない。

 胃に吐くものがなかったわたしは、数度嘔吐くとすぐにトイレをあとにした。

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