Last chapter. addicted to you ♯5

文字数 292文字


 わたしは優陽のプレゼントにネクタイを選んでいた。娘が父の日にネクタイを選ぶというのはよく耳にするけれど、わたしは別の意味を込めて、優陽にこれを渡したかったのだ。

「女が男にネクタイをプレゼントするのはね、ちゃんと意味があるんだよ。知ってる?」

 涙を拭ってくるりと振り返り、笑顔で優陽に問いかけた。

「へぇ、知らなかったな。どんな意味があるの?」

 優陽は照れ臭そうにはにかんでいた。その顔がかわいくてたまらなくて、わたしは少し意地悪をしたくなる。

「おしえなーい!」

「なんでだよ、おしえろよ!」

 わたしは優陽にべえっと舌を出すと、桜が舞う公園を駆け出した。

 そんなわたしを優陽が追いかける。

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