Ⅵ.『Vampire’s love』 ♯30

文字数 579文字

 それにしても、みんなはさっきの蓮崎くんと本城さんの関係をどう思っているのだろう。

 料理が出来上がるまで飲み物を飲みながら四人で談笑していたが、その件には誰も触れようとしなかった。一見みんなで楽しく会話しているように見えるけれど、わたしはどこかすっきりしない。

「お待たせしました。ステーキライスセットです」

 浅桜くんのお父さんの低い声とともに、カウンター越しにプレートが差し出された。

 ステーキライスの他にスープとサラダも付いていてかなり豪華だ。

 メインのステーキライスは、バターライスの上にレア気味に焼かれてカットされたお肉が乗っていて、ガーリックのほのかな香りが食欲をそそる……はずなんだけど。

「おいしそう! いただきます!」

 瑞花と皆渡くんは手を合わせて早速お肉を頬張っている。一方わたしは急に頭痛がしてきて、中々手を付けられずにいた。

「立華、もしかしてお肉苦手だった?」

 なかなか食べ始めようとしないわたしを見兼ねたのか、隣の席に腰を下ろした浅桜くんが覗き込んでくる。

「う、ううん。そんなことないよ。ただ、急にちょっと眩暈がしちゃって……」

 どうしたんだろう。お肉は大好きだ。それも最近はレアなお肉がとても美味しく感じるようになっていて、大人になって嗜好が変わってきたのかと思っていたところだった。お母さんも最近はお肉をかなりレアで焼いてくれている。

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