Ⅱ. whereabouts of blood ♯24

文字数 615文字

「ひさしぶりだね、緋莉がうちでごはん食べるの」

「うん、そうだね。お母さんに連絡しとかなくちゃ」

 スマホを取り出し、お母さんのアドレスを呼び出して発信表示をタップした。数秒して『もしもし』と柔らかい声が耳に届く。

「お母さん、もう仕事終わった?」

『えぇ、今は帰りのタクシーなんだけど、家に着くまではもう少しかかりそうね。体調は良くなった?』

「うん、大丈夫だよ。眠ったら楽になった」

『それならよかったわ。夕食に食べたいものはある?』

「それなんだけど、今瑞花の家にお邪魔しててね。夕食ごちそうになってきてもいいかな?」

『もちろんいいわよ。じゃあお母さんもどこかで済ませて帰るわ。遅くなるならあなたもタクシー呼びなさいね』

 瑞花のお母さんとわたしのお母さんは昔から仲がいい。
 たまに瑞花が泊まりに来ることもあるし、こういうことでお母さんがだめと言うことはないけれど、今朝のこともあってか、やはり心配してくれているようだ。

「結花さんが送ってくれるみたいだから、大丈夫だよ」

『それならよかったわ。結花ちゃんにお礼伝えといてね』

「わかった。ありがとうお母さん」

『瑞花ちゃんと、宵月(よいづき)さんにもよろしくね』

「うん、伝えとく」

 電話を切ると、瑞花はスマホのパズルゲームに夢中になっていた。

「瑞花の家族によろしくだって」

 わたしは本棚からファッション誌を取り出して、ぱらぱらとページをめくる。

 瑞花は画面から目を離さずに「んー」と気の抜けた返事をしていた。

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