Ⅰ. in the darkness ♯6

文字数 346文字

『お母さんともお祝いしたいから、帰ることにしたよ』

 返信すると、またすぐにスマホがピコンと受信を報せる。

『家族でクリスマスもいいな』

 二次会の最中に送ってくれてると思うと、それがまた嬉しい。

 続けてピコン。連投だ。

『もう家に着いた?』

『もうすぐ着くよ。早く帰りたいし、緑地公園抜けるか迷ってるの笑』

 迷ってることは楽しくもなんともないのにつけた『笑』という一文字。

 そうか。浅桜くんとのやりとりが嬉しくて『笑』なんだ。

『暗いから気をつけて。じゃあまた明日』 

 明日は浅桜くんと初めてふたりだけで会う約束をしている。

 思い出すと頬が熱くなってきた。早く帰って明日の準備もしなくちゃ。プレゼントだって買ったんだから。

 緩んだ頬を軽く叩くとポケットにスマホを仕舞い、わたしは緑地公園へと足を向けた。

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