Ⅵ.『Vampire’s love』 ♯39

文字数 304文字

 首を傾げつつベッドから抜け出して扉の前まで行くと、ふとウォールミラーに映る自分自身と目が合って思わず「ひっ」と悲鳴をあげた。

 ――な、なんなの、これ?

 闇の中でふたつの目が妖しく紅く輝いている。一瞬他に誰かいるのかと疑ったが、間違いなくわたし自身の目だ。その紅い瞳がわたしをじっと見つめている。

 ――わたしの()、どうなってるの?

 目が痛むわけでも視界が霞むわけでもない。だけどどこかで見覚えがある瞳だ。

 ――まさか、この瞳の色、ルカさんと同じ……?

  その場にへたり込むと、しりもちをついたまま手を伸ばし照明のスイッチを入れた。パッと部屋が明るくなると、鏡の中のわたしの瞳はいつもの薄い茶色へと戻っていた。

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