Ⅷ. Final truth ♯14

文字数 447文字


「それと、緋莉に関係しているかもしれない部分はここだ」

 優陽が広げたページを覗き込むと、思わずビクッと肩が震えた。

「吸血鬼にとって、処女の血がご馳走だということ!」

 いや、わたしは処女だけど。間違いなく処女だけど。でも、そのわたしを処女と決めつけて話す優陽には、照れとか恥じらいとかそういった感情はないのだろうか。

「あ、もし違ってたらごめん!」

 あっけらかんと聞く優陽の頭を軽くはたく。

「優陽が初めての彼氏だよ!」

 皆渡くんじゃないんだから、もう少しオブラートに包んで話せないの?

「ご、ごめん、ちょっと茶目っ気出してみたんだけど……」

 そういう優陽はどうなんだ? と思うけれど、わたしには恥じらいがちゃんとある。

「あ、ちなみに俺も緋莉が初めての彼女だから」

 ははっと笑いながらそう言う優陽の頭をさらに軽く小突いた。

 でも、わたしはどこかほっとしていたりもする。その気持ちには気づかれちゃいけない。

 こんな話をするために図書室に来たわけじゃない。けれど、こんな話のおかげで心の距離が縮まっていく。

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