Ⅶ. the sprouting love ♯9

文字数 335文字

 気に入ったプレゼントを見つけてはしゃぐ瑞花の横顔を見て、ふと、お父さんにプレゼントを選ぶってどういう気持ちなんだろうな、と思う。

 仲の良い男性に贈り物をするっていうのとは、やはり感覚が違うのだろうか。

 父親でも兄弟でも、血が繋がっている相手に対して異性を意識することはないとみんな言うけれど、渡すときに照れ臭かったり恥ずかしかったりする感情は、ほんとうにないのだろうか。

 なぜかはわからないし、なにがかもわからないけれど、ちょっとだけ『いいな』と思う。

 わたしにとってお父さんがいないことは、今となっては当たり前だから、羨ましいとまでは思わない。

 でも、両親がいるという、わたしが持っていない『世の中の当たり前』を持っている瑞花の笑顔は、なぜかいつもより眩しく見えた。

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