Ⅳ. a snowy day ♯2

文字数 450文字


 冬休みは特に予定もなかったけれど、すぐに事件のことが気になってしまい課題に手をつける気にはなれなかった。たまにおつかいで外に出る以外は、家で退屈な時間を過ごしている。毎日遊びに出掛けるほど、現実(リアル)での交友関係は広くない。だけどそれに不満もない。

 ルカさんとはあれ以来会えていないし、事件のほうも進展はない。
 犯人は誰か、なぜ殺したのか、どのように殺したのか、なにも解明されないまま時間だけが過ぎていき、ニュースで取り上げられる回数も徐々に少なくなっていた。

 毎年過ごしてきた、いつも通りの変わらない冬。

 ひとりの時間を過ごすのが苦痛に感じたことなんてない。
 なのに今年に限ってはなにかが違う。頭の中はずっともやもやしていて、胸の中にはどろどろしたなにかがへばりついているみたいですっきりしない。たまに来る蓮崎くんからのメッセージも、意図が読めず頭の隅に居座ってしまうから尚更だ。

 自分の気持ちをなにひとつ整理できないまま悶々とした日々を重ねていると、冬休みはあっという間に過ぎていき、大晦日が訪れた。

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