Ⅶ. the sprouting love ♯14

文字数 387文字

 登校中はバレンタインの緊張感に苛まれていたせいか、やけに喉が渇いた。朝食はしっかり食べたけれど、やっぱりどこか体が重い。

 学校に着いて生徒玄関を抜けると、どこか浮足立っているような男子生徒グループがはしゃいでいた。

 靴箱に扉がついているため、開ける瞬間に誰かをはやし立てるような声も聞こえてくる。

 付き合っていたらそんな目立つ渡し方はしないだろうけれど、わたしみたいに密かに想いを寄せていた女子がこっそり入れたりすることって、ほんとうにあるのだろうか。というか、靴と一緒に食べ物を入れるってどうなの? 浅桜くんには放課後渡そう。

 上履きに履き替えていつものように二階の教室まで向かっていると、階段の踊り場に集まっている女子生徒達が目に留まった。通りがかる生徒ひとりひとりに目配せをして、まるで誰かを探すように、「違う……」とか、「あの子じゃない……」と言葉を交わしている。

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