Ⅸ. Lies go with the dawn of winter ♯6
文字数 380文字
「う……うぅ……」
どれくらい時間が経ったのだろう。
目を開けると、視界に色が戻り始めていた。少し体はだるい気がするけど、気分はスッキリしている。というのも、さっき優陽に抱いていた正体不明の欲望が消えている。
「気がついた?」
優陽の声がぼんやりと響く。
「ゆ、う……ひ……?」
背中が温かい。わたしは優陽に抱えられるようにして気を失っていたようだ。優陽を縛っていた霧も晴れている。
「一体……なにが起きたの?」
優陽に預けていた体を起こして辺りを見渡す。徐々に頭が冴えていくと、優陽の向こうで地面に横たわるルカさんの姿が目に留まった。
「ルカさん!」
思わず立ち上がって駆け出そうとしたけれど、うまく力が入らない。
よろけて倒れそうになるわたしの体を、優陽が咄嗟に支えてくれる。
ルカさんは苦しそうに顔を歪ませていて、わたしの声に反応するようにうっすらと目を開けた。