Ⅸ. Lies go with the dawn of winter ♯7
文字数 352文字
「緋莉が気がつきました。やはり、あなたは……」
優陽が苦渋に満ちた表情を見せながら、ルカさんに声をかけた。
「君は……賢いな」
「いえ、確信に変わったのはたった今です。疑いを持ち始めたのは、俺が緋莉と付き合いはじめてからですが」
優陽の言葉使いが敬語に変わっている。一体どうして?
「それに、俺が辿り着いたのはあなたと緋莉の繋がりまでです。だからもう、全部話してくれますね?」
わたしが気を失っている間に、なにが起きたのだろう。
だけど優陽も無事でよかった。わたしもこうして生きている。なら今するべきことはひとつしかない。
「優陽、それよりまずはルカさんを病院に連れて行かなくちゃ!」
スマホを手にして緊急通報ボタンを押した。でも、
「いや……病院はやめておこう」
わたしを止めたのは、ルカさんではなく優陽だった。