第110話

文字数 322文字

 長雨で苦しい。
 巨きな手で胸を上から押さえつけられているようだ。

 今朝の夢の最後。
 おおぜいで集まって何かしていたのだけど、そこから真澄さんが私を引っぱって抜け出す。二人になりたいらしい。
 それは私もなりたいけれども、みんなの手前どうなのだろうと、嬉しくも、はらはらする。

 どこまでも続く駐車場でさまよう。
 まわりはコンビナート。灰色の巨大な球体がぽつぽつと立つ。
 真澄さんは先に走っていって、あちこち見まわして、場所を探している。止めたくても数十メートル先を走っている。
 サッシの物置小屋にライフセイバーのような蛍光オレンジのペンキがばっさりとかけられたのを、のぞきこんで見たりしている。

 ふと、その物置の後ろへ彼が回って、私は彼を見失う。

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