第117話

文字数 349文字

 その続き。
 きゅうに変わって、大きな書店の中にいる。棚に整然とたのしい本が詰められた、私の好きな感じの本屋さんだ。吹き抜けで二階まである。

 私は早足で通り抜けながら、笑っている。

 こんなに早足では欲しい本を見つけられないのじゃないか、だいたい何の本を探しているんだっけ、とうっすら気づきかけるけれども、私、早足が止まらない。笑いも。
 さっきの場面の続きで、きっとミヤザキさんかスドウさんか、どちらかが何か面白いことを言ったから、私は笑っているのにちがいない。どちらに何を言われたかわからないけど。

 書店のいちばん奥の部屋まで来たから、Uターンして戻ろうとすると、棚も壁も消えていって、

 私は、陸橋を渡っている。

 石の橋なのに、欄干に野ぶどうのつるがよくからまって、濃紫の実がすばらしくなっている。

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