第106話

文字数 408文字

 ものすごく人がおおぜいいる所から帰ってくる夢。どこへ。たぶん、実家へ。
 人がおおぜいいる所は、競技場なのか、駅なのか。とにかく私は流されるようにして歩いていて、そばにミヤザキさん一家がいる。

 これからモノレールかケーブルカーに乗る。それまで小一時間ある。
 私はいま立っている所の目の前にある、からくり時計館、か何かで時間をつぶしたい。
 でもふたごちゃんは興味がないこともわかっている。

 ミヤザキさんは落ちついて、「いいから入ろう」と言って、なぜか彼だけ自転車に乗っていたのを、かるがるとかかえて地下へ続く階段を降りていく。すぐに姿が見えなくなる。
 すると空中から彼の陽気な声が聞こえてくる。ラジオのCMらしい。
 これミヤザキさん? と訊くと、サンデーさんすまして、そう、と言っている。

 まだまだ人は多くて、どこへ向かっているのかわからない。
 いつのまにか私は一人。
 一人で待っている。誰を。

 たぶん、他の人たちを。

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