第142話

文字数 197文字

 そうは言っても、私を育ててくれたのは母だ。

 私は小さい頃、とても食が細かったらしい。
 こまりはてた若い母は、赤ちゃん用のテーブルをベランダに出し、
「ほーら、お月さまよ」
などと言って、私が口をちょっと開けたすきに、スプーンのなかみをいそいで流しこんだりしていたらしい。

 ちょっとうろ覚えだけれど、とにかく、とても手を焼かせたのはたしかだ。
 ありがとう、お母さん。

 そして、ありがとう、お月さま。

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