第87話

文字数 165文字

 納棺の前に、湯灌をしていただいた。
 ふと、父の声が聞こえた。
「アヤはよくがんばったよ」

 それから、一つ頼みごとをされた。

 泣きながら心の中で「それは無理」と答えると、
「そうか」
「アヤは、好きに生きるといい」
 笑っている。

 信じられないけれど、本当だった。

 たぶん、けっきょくは私がその頼まれごとを引き受けると、わかっているのだ。

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