第153話

文字数 452文字

 ミヤザキさんの見た夢。

 人質、になっているのだそうだ。なぜかはわからない。
 後ろ手に縛られている。
 私もいっしょにいて、縛られているらしい。

 シアターユニット・サラ、何をやらかしたのか。

 犯人は三人いて、その一人がモトヤマさんらしい。モトヤマさんはミヤザキさんの同輩の俳優さんだ。あとの二人はわからない。
 その三人が、私たちを縛り上げておいて、きゅうに肉体自慢を始めるのだそうだ。
 ボディービルダーのように、たがいに筋肉を見せびらかしあう。

 ばかじゃないの? と、ミヤザキさんはあきれる。
 なんだあれ。貧相なくせに。

 そこヘ、ナリタさん(ナリタさんも大先輩の俳優さんだ)が乱入してきて、叫ぶのだそうだ。
 おれのピンクのポシェットはどこ?

「それがもう、おかしくっておかしくって、おれはゲラゲラ笑っちゃうんだけど」とミヤザキさん。「考えたら、たいしておかしくないよね」
 うん。たいしておかしくない。

 でも、私もいっしょにゲラゲラ笑っていたのだそうだ。
 縛られたまま、体をよじって、涙を流して。
 なんだそれ。

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