第105話

文字数 266文字

 長い夢の最後の部分。

 真澄さんも私も高校生で、しかも真澄さんは豪邸の御曹司らしく、私はそこのメイド。高校生なのに。
 だから会えないのだけど、このお屋敷のどこかにいるんだなあと思って、私はしみじみ嬉しく、黙って一人で庭を掃いている。竹の熊手。メイドなのに。

 お屋敷といっても、なぜか生け垣がえんえんと続くだけ。それがきちんと刈り込まれ、とてもよく整っている。
 というより、なんだか庭いちめんにその生け垣が縦横無尽で、これは、もう、茶畑なのかもしれない。
 さんさんと日が射し、小粒の柔らかな若葉がえんえんと輝く。

 私以外、誰もいない。

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