第4話

文字数 346文字

 私、夢で、巨大なワードローブに住んでいて、というより、私が小さな虫。
 天井まで積みあがる毛皮を見上げてとほうにくれている。
 これをみんな洗って真澄さんに返さなくちゃならない。
 
 ところが、真澄さんがもう引き取りに来て、玄関先で待っている。
 
 私はこまって、思いきって、毛皮を着たまま海水の中にダイブする。
 海水は渦を巻いていて、毛皮がいっぺんにみんなきれいになる。

 そのまま歩いて、廊下を歩いて、真澄さんに毛皮を返しにいくけれど、毛皮からぽたぽた水が垂れている。青みがかった灰色のなめらかなコートだったはずなのに、ちょっとずつ毛束になって、白と黒のまだらになってしまった。
 
 ワードローブは自宅の、本当は小さなワードローブで、歩いていく廊下は実家の廊下。
 毛皮の服なんて一枚も持っていない。

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