第30話

文字数 336文字

 夢のなかでちょうど立ち上がって、何か大切な真実をおおぜいの前で語ろうとしていたときに、目覚ましのアラームが鳴り、何もかも一瞬で吹き飛んでしまった。
 
 何の真実だったのだろう。
 私は、男だった気がする。たぶん三十代半ばくらいの。
 
 クリーム色の紙にセピア色のインクで城壁の絵が描かれ、端が少しめくれて、円塔の壁の部分に明るいブルーの絵の具の染みがまるく、二つばかり。そのブルーの色がなんとも佳く、しばらく見つめていた。中央がにじみ、ふちにかけて濃くなっている。
 アラームで吹き飛ばしてしまったのが残念だ。

 そして片腕だけ見える。ひじの先から。親指のつきかたから見て、左腕だ。
 私の左腕なのだろうか。
 
 さて、燃えるごみを出しに行かないと。


※起きてすぐ書いたメモのままです。

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