第91話

文字数 372文字

 今朝の夢。
 下町の、一棟がまるごとアトリエになっているような建物に、おおぜいの人と間借りして住んでいる。

 たくさんのことがあったけれど、すべては書かない。
 父は出てきてくれなかった。父の夢を見たかった。

 アトリエはできたばかりらしくて、木の香りが新しい。
 大きめの部屋に集まって皆で楽しんでいる。ミュージシャンたちが無人のライブをしていて、たぶん録画か同時配信しているのだろう。

 そのうち役者たちが衣装をつけて出てきて、三十人くらい。それぞれ、シェイクスピアの中の、自分の台詞だけを使って会話する、という遊びを始める。
 手持ちの台詞が少ないらしい女の人が、苦しまぎれに同じ台詞をくりかえす。くすんだ水色の衣装で、長い髪。

 私はそもそもこのゲームに入れてもらっていないので、ながめるだけ。

 それとも、たった一人の観客、という役なのかもしれない。

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