第31話

文字数 218文字

 長い夢のほんの一部。
 
 モーツァルトか、ロッシーニのオペラの中にいる。と言っても、誰も歌っていない。
 たんに七、八人でくつろいで、笑いながら、照葉樹の木立に囲まれた広い坂をのんびり歩いて下っている。ときどき木の枝が顔の近くにあって、つまんでみたりする。
 
 見えないけれども、オレンジとレモンのある気配。シチリアなのだろうか。
 やはり見えないけれど坂の向こうに海もあって、たっぷりと光っている気配。
 
 この坂は、前にも下ったことがある。

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