第132話

文字数 570文字

 今朝の夢。
 レトロで小さなバーにいる。でも、花束がたくさんあるから、改装開店なのかもしれない。

 店主の気取った痩せぎすのマダム(誰)、ぴったりした大柄の模様のドレスを着た人が、立ったままの私と弟に、ご注文は? と訊く。
 私が何か言う前に、弟は黙ってガラスケースからグラスを二つ取る。グラスにあらかじめピンクやグリーンのアイスクリームを入れたのがたくさん冷やしてあって、弟はそれを二つ、グリーンのを、つかみ出して、勝手に持っていってしまう。
 姿はいまの大人の弟なのに、やることが小学生だ。

 私があわてて、お代を、などと言っていると、弟はすでに太いストローで緑のアイスクリームを一気に吸いこみ、
 かっ、
 とまずそうに息を吐いて、もう席を立って行ってしまう。

 痩せぎすのマダムがあきれ顔で、お盆にミルクを満たしたグラスを二つ載せて来る。このミルクをアイスクリームの上からそそいで飲むという飲み物だったらしい。
 私はいたたまれなく、うつむいて、マダムに教わったとおりアイスクリームにミルクをそそいでストローで飲む。
 とたんに私も固まる。
 苦い。

 まずいのだ。
 弟があんなふうにむせかえって、怒った顔で逃げ出して当然だ。

 私は逃げ出すこともできず、二つのグラスを前にして、とほうにくれている。
 緑のアイスクリームは抹茶ではなくて、青汁だったらしい。

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