第123話

文字数 252文字

 ソノさんは静かな人で、ふだんも黙ってにこにこしていて、あまりしゃべらない。
 そしてお酒が強くて、いいお酒だ。乱れない。
 にこにこしながら飲んで、だんだん眠そうになるだけだ。

 いつかもソノさん、うん、うんと相づちを打ちながら、しきりにお箸で何かつまもうとして、つまめないでいる。

「ソノさん。それ、お皿の模様だよ?」

 そう私に言われて、つまむのをやめて、にこにこしている。
 驚いたようすもない。

 何も聞いてないな。はじめから。

 いままで私がしてた話は、どこ行っちゃったんだ。
 まあ、たいした話じゃないけど。

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