第１３５話

　真澄さんに、この『夢百夜』の、真澄さんが出てくる回を読ませると、面白い。
「これ誰」と言う。

　この「真澄さん」が、彼自身の自画像より、いい男に思えるらしい。
　他に誰かそういう男がいるのかと疑うらしい。

　だから真澄さんでしょ？　と納得させるのに、ひと手間かかる。
　納得しても、まだちょっと嫉妬している。
　だから、真澄さんでしょ？

　子どものころ飼っていた犬が、鏡を見せると真剣な顔つきになって、鏡の後ろへまわりこんで匂いを嗅いでいた。
　それに似ている。（ごめんなさい！）

　もしかしたら、登場してくれている人たち全員が、「これ誰」と思うのかもしれない。
　でも、夢だからしかたない。