第6話 親の思惑子の思い

文字数 530文字

 長男は脳の回転のすばらい子である。
高専に合格して本人よりも父親がもろに喜んだ。
起業したばかりで、借財の返済もあり、
大学にやるには、ちと荷が重い。
奨励金のことなどは考えてもいなかったのだ。

 敵も「息子」もさるもの。黙って、5年に進級せず、
出来ず、もう一年四年に在籍しなくてはならなくなった。
つまり留年する羽目に、なったかのか、したのか?
そして「大学へゆきたい」と、こともなげにいう。
父親が折れて、入試のため予備校へ行くことになる。

予備校在学中にオートバイを線路に乗り入れて転倒。
島国の悲しさ、当日、入院先の病院ヘつくことができず、
夜間航行で翌、早朝病院へついた。
 前歯が2本折れた以外、外傷はなかった。
大事にいたらなくてほっとした。

 その時も父親は私が夜行の船で出るのと
同時に出かけたという。
「鬼の居ぬ間」ということか。
私もさるもの、息子の症状を詳しく
伝えてやらなかった。
 長男は、大学は出ても、家には帰らない。
ここ京都で暮らす。と宣言。
「親の引いたレールは渡らない」
もう自分で決めたことだと、譲らない。

それならいいよと、父親と談合済み。
3年勤めた。
その間、好感の持てた女性にめぐるが、
ご縁がなかった。
責任は私にあったのかも❓
 息子は京都で青春を謳歌していた。



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