第45話 風呂とオミクロン

文字数 452文字

 口ばっかり達者で動きの重い自分を、じぶんが
冷ややかにみている。歳を重ねると何が一番億劫なかと
いえば、入浴することである。これは私に限らず複数の
友人も言っている。私は膝が悪いから曲がらない。
マッサージがあるのでその日は入浴は欠がせられない。
「おかんはマッサージのために風呂に入るんで」
「そうよ一度でも婆さん臭かったら、ずっと覚えられて
いるから、そんなの許されんの」  

 冬の陽を部屋いっぱいに入れ、暖房をかけ部屋を温め
さあと6〜7割湯の貯まった湯船に入る。後は、熱めの湯
を加える。身体はだんだん温まって湯船から流れ出る音を
聞くとやすきぎを覚える。お尻をあげると浮上して楽々湯
舟から出られる。こんなことがなぜ気づかなかったのか。

 バスに乗って温泉に行っていたのが嘘のようで馬鹿だ。

 マッサージのキャンセルの電話がきた。先生の子供がオミクロン
に感染し、先生は今、PCRの検査をしているという。陰性でも
すぐには活動できないだろう。

 何か騒々しくなってきた。オミクロンはすぐ隣まできている。







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