第4 話 キヲツケ、休め

文字数 457文字

 起き上がるのに三年を要した。
子供たちはそれぞれが三歳成長し、親はその分、歳を重ねた。
365日×三年。小さい八百屋の店を閉める日は一日もなかった。
 子供の成長が恐ろしかった。というより進学を考えると、
貧しさが身に染みた。長男を高校にやるか高専か夫婦でなやんだ。
 時間が惜しくて授業参観にもPTAにも参加したことがない。
従って、予習も復習も強制はしない。
しかし、どの子にも守護神がついているのか?よくできた。
ある日。長男を約束不履行で怒っていたら、
ニコニコと娘から来た。娘にも不具合があった。
そこへ「どうしたの怒られてるの」と二男が来た。
この子も数ないおもちゃを広げっぱなしだ。
ええい。一人づつお説教は時が惜しい
 三人纏めて「キヲツケ。休め」を2〜3回繰り返し
「キヲツケ」をさせたまま店に出て忘れていた。体罰である。
最初は何やら楽しそうな三人の声が店に聞こえていたが、
 その内、静かになった。裏口から逃亡していたのだ。
 逃亡を知って
 内心「よく逃げたのう」とほっとしたものだ。
 その夜、悪かったなぁとカレーを作った。

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