第17    思い込みか?

文字数 518文字

 感じることあって亡夫の軍歴を取り寄せた。4月5日
新聞の一面に白菊特攻隊のことが掲載されていた。追悼花火は
戦後75年の節目の今年限りで終える。とあった。
この紙面に落ち着かなくなり新聞紙を切り抜いた。
打ち上げは午後8時。
 新聞を読みながら、○○海岸はよく知っているので、☆☆海岸を
○○海岸と脳に思い込ませてしまった。そして夕方息子が帰った。
「今夜○○海岸で追悼花火があるのでゆきたい」
「わかった7時30分に家を出よう」息子はすんなりOKした。

  自分のことは自分ですることを信条にしているので普段は頼
まないが、夜間なので頼んだのだ。

 7時50分○○海岸に着いたが、それらしい影も形もない。
「おかしいほんまに○○海岸と書いてあったんで」
「間違いない2度も読み返したもん」話しながら、
切り抜きを広げて唖然。新聞には紛れもなく☆☆海岸と書いてある。
「このごろなあ早とちりが激しくて、違っていたわ。すまんかったなぁ」
「兎に角☆☆海岸へゆこう。10分で行けるかなぁ」
信号無視しながら急いだが、後の祭りだった。

「おかん残念だったなぁ」
優しくされると、こそばゆい。こんなことが日常茶飯事に起きている。
 年寄りと暮らす若人の心情、推して知るべしである。
 


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