第79話 手術するか(1)

文字数 510文字

 私は声が大きいので、初めて逢う人も旧知の人もお元気ですね。
と言う。「いいえ元気ではありません」と内心つぶやく。
両膝関節症、虫垂炎、甲状腺、白内障、網膜剥離、左手首骨折。
上記は手術した部位であり病である。その上、まだ頭の中に動脈瘤があり、
この瘤は破裂しない限り手術することはできないと言う。
破裂したら、蜘蛛膜下出血。医師は「まあ爆弾を抱えているようなものです」
スルスルと言う。気になってセカンドオピニオンというか医師を変えたが
見たても、言うことも全く同じだった。この瘤は十年間、大きくも小さくも
ならず血管にしがみついている。愚弄話だがいぼ痔とは30年来の付き合い
をしている。便秘や下痢になどなると「これわたまわん今度こそ手術をしよう」と
腹を決める。しかし少し治ると決心が鈍るのである。
GWに帰る代わりに6月に娘が帰省する「よしこの時に手術を決行するよ」と娘に
話したら「お母さんはほんまに手術の好きな人だなぁ」と曰う。
「好きで切っているのではないわ」不機嫌に返しておいた。さて手術の段取りを
しなくてはと、初めて痔の検診に行った。
「案ずるよりうむが易し」でアッという間に診察は終わった。
30年も辛抱したのが理に合わなかった。





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