第35話 現世

文字数 733文字

 今日一日現世人に戻った。
7時起床。大根葉のお浸しと、葡萄パン一切れの朝食。
市バスに乗り息子の家へ。明日の会のメンバーに取り立ての椎茸
をお裾分けしたくて、車を出して生産農家へ買い出しにゆく。
 12時マッサージの予約。そこで「チキンカレー」の
美味しい店の話を聞き、今日なら、自動車があるから、どこへでも行ける。
早速ランチはカレーと決めた。お味は?好みがあるから一概にはいえない。
そのあと1週間分の食料を買い、我が家へ持ち帰った。が、
ゆっくりお茶も飲まず、3時に自動車を所定のガレージに戻した。
スピードを出さないと心がけているが、運動神経は確かにダウンしている。
 また市バス(無料乗車券)に乗って帰宅。1日中びっしりと予定と行動があり、
久しぶりに時間割りもした。現世離れしていた昨今に吹き込んで新風で生き生
していた。やっぱり動くことはいいことだ。働くことはいいことだ。 
 
 私は農耕民族。働くということは、身体を使うことである。
 畑へ目も体も自然に向く。大根、ほうれん草、にんじん、小松菜、主が代
わってもみなよく育っている。土寄せと、草取りをした。
これで心身の充電はOK。

 昨日89歳のおじいさんの事故の映像をテレビで見た息子は
「おかん、ほんまにもう、自動車に乗るのやめよう」
「そうよなー。来年3月には車検だし、納めどきかもね」

 今、ガレージにゆくには市バスで移動せねばならない。
だんだん自動車のない生活に慣らされたところである。

 あゝ今日は最高の敬老、秋の一日だった。
ついこの夏までは当たり前で、車を乗りまわしていたのに、

老いを受け入れよう。その分息子夫婦が孝行をしようとする。
 私は、こそばゆいのである。
 明日からまた一人の、マンション生活を楽しもう。11/19日





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