第41話 遠足の思い出

文字数 401文字

「あの一番前の女の子可愛いなあ。町のこのようだ」
隣村の山寺へ行った春の遠足の一シーンである。隣村の店の
前にいた2〜3人のおばさんの話である。
「えへへあれは私のことである」子供心に優越を感じたのだ。
80年以上も経っているのに今も記憶にある。

クリーム色の上下の服にリュックサック。
女子の先頭に立って歩む女の子は、大阪の従姉妹のお下がり
を着ていた。みんなはお弁当を風呂敷に包んで肩に斜めに掛けて
いたのだろう。そうだ帽子もかむっていたが靴の覚えはない。
きっと藁草履を履いていたことと思う。草履は履き替えを持っていた。
二年生といえば多分、自分で作った草履を履いていたのだろう。
それ。ほんと、嘘と思うだろうけど当たり前のこと、普通のことだった。
 クリーム色の服はよそ行きだからこの服を着た記憶は外にない。
大事にしまっている内に、サイズが合わなくなったのだろう。

 「思い出」って思い出す度、色濃くなるような気がする。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み