第98話 2月3日

文字数 472文字

 大正15年2月3日。亡夫の誕生日である。
鬼籍に入ってやがて40年。この日が来たら嫌が上にも思い出す。
子供の小さい時は「鬼は外」をしていたこと。家庭では近ごろ
豆まきはあまりしていないようだ。しかし「巻き寿司の丸齧り」
が、まるで行事のように流行った。流行って10年は悠にこえただろう。
流れに乗って私も、丸齧りはできないが巻き寿司をずっと食べていた。
 今年はやめた。弟が「巻き寿司を買っていないのなら持っていってやる」
と電話があったが「今年は食べないし、寒いから外に出ない」と返事しておいた。
 日本中で今日、巻き寿司食べていない人はどのくらいいるだろうかと、
暇に明かして試算してみた。宣伝のチラシから見ても3割、4割?そしたら
6割の人が巻き寿司を食べたことになる??それ、ほんと。
 群集心理ってすごいなあと思う。
 子供の頃、欲しいものがあったら、みんな持っているからと、せがんだものだ。
大人になっても、みんな食べている。持っている。真理は続いているのだろうか?
 毎年の恒例を破って、今年は冷凍の鰻丼を食べた。
 かぶらの漬物と濃い緑茶が美味しかった。


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