第127話 シェルターとよいとまけ

文字数 884文字

 衆議院予算委員会において石破茂議員が質問に立った。
石田茂は何度も総理候補に名前が上がったし、あと一歩で敗退した時もあった。
派閥政府であったから国会議員の票を獲得するのは無理な話であった。

 この星のどこかで起きている戦争を見ていると、空襲警報がなるとシェルターに
駆け込んでいる。 
 よその国には、シェルターが、当然のようにあるのに、なぜ日本にはないのだろう。
 戦わないと、決めたから安全と思っているのだろうか。私はつねづね、シェルターに
関心を持って声をあげでいたが、蚊の鳴くような声はどこにも届かない。が、今日の
石破茂の発言を聞いて、ほっとした。石破茂がんばれ。
 
 総理は憲法を変えようとしている。変えたいのは九条である。国をあげて是非を考え
なくてはならない。大事な時に、この投票率では、正しく大事を決めれるのだろうか。

 シェルター文が、完結しないまま、時間だけは正確に過去になってゆく。
 なすこともなく、時間潰しにテレビをつけた。
「父ちゃんのためならエンヤコラ。あかちゃん……」あゝこの歌?懐かしい、一緒に歌った。
そのその昔。丸山明宏が作詞作曲して一世を風靡したが、差別用語があるからとかで、
封印されてしまった歌だ。桑田佳祐が封印を解いたのはいつだったか。

 これほど日本人の心に響いた歌は他にあっただろうか。
 私は今、感動や感激など安っぽくて使えない。大きな渦の中に巻き込まれて、
だんだん渦の真ん中に引き寄せられて行く。
「母ちゃんのためならエンヤコラ」ひとりだ。憚らず歌っている。
レースのカーテンを開けたような清々しい気持ちになっている。土方のどこか恥ずかしい
というのだ。「忘れました」「少し思い出しました」という方がよっぽど、恥ずかしいわ。

 土は扱っていないけど土方です。この腕を見てくれ。酔うとすぐ腕の筋肉を出していた
昔が懐かしい。あの頃は、皆んな私のことを「お母ん」と呼んでいた。
あの人たちは何処へ行ったの。近年誰も訪ねて来ない。戻って来いよう。心は叫ぶ。
 土方で、育てた三人の子供。皆んな人並みに育ったよ。
 着地点が定まらない。「ヨイトマケ」の渦の中にいる。














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