第75話 ひょうたん島

文字数 662文字

 噂のひょうたん島巡りをしたのは、数年も前のちょうど今頃。
なぜひょうたん島と言うか?少しお話ししておこう。
 新町川とその支流、助任川に囲まれた周囲6キロの中州の島で、
上空から見たら本当にひょうたんの形をしているからだそうだ。
 この島を舞台に、いろいろなイベントが四季を通して繰り広げられている。
 水際の紫陽花が見頃と知り、遊覧ボートひょうたん号に乗り込んだ。
ボートの定員は九人で、両国橋の袂を出発して新町橋、仁心橋、三ツ合橋、
新吉野川橋へ通じる新助任橋、福島新橋、かちどき橋、富田橋と数えると
合計十八の橋を潜ったことになる。ちょうど満潮時だったので、橋桁
スレスレに感じてヒヤッとした場面もあった。
川から見えるのは家、家の裏の顔である。思わない顔も見えた。

 それにしても何と水が綺麗になったことか。ヘドロの川を知っているだけに、
川を守る会の方々に頭が下がります。ご苦労がしのばれます。

 ボランティアで船に乗っていると言う男性が二人いて、若い方が舵をとり
年配の方がウグイス嬢もどきの案内をしてくれた。
 
 普段は橋の上を車で走っているが、川にこんな風情があったなんて発見である。
阿波藍が盛んであった頃、富田浜には倉が並び舟が往来していたと聞くが、今は
その面影もない。
 藍場浜公園の桜並木が一際の茂みを見せている。桜の頃、この舟からの眺めはまた
格別だともどきの方が話してくれた。穏やかな川面にそれなりの航跡を残して、アッと
言う間に一回りした。田宮の堤、城跡の北には紫紺の紫陽花が今を盛りと咲き誇っていた。

 あゝ 絶景かな。絶景かな。



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