第13和 意地悪ばあさん

文字数 415文字

 敬老施設に入ることにした。
施設を見て最小限必要な物を書き出した。
とりあえず、絨毯と小物入れを買う。
「僕が支払う」
「いいや、これくらいは自分で払うわ」
「テレビやベットは僕が買うけんな」
「ありがとう」言ったけど、
全く可愛げがない婆さんである。
誰にも迷惑はかけたくない。自分で買うから。
今は面倒見てもらいたくない。だからでて行くのだ。
 
 自動車でホームへ出入りすることは禁じられた。
羽根をもがれた哀れな小鳥になった。

 バス停への試歩を試みた。20分を要した。
美容?と健康と経済のため外出時には
バス停まで歩いてみよう。
 
 彼女は
「いつでも呼んでくれたら迎えにゆきますよ」
「ありがとう。頑張ってみて駄目なら頼むわ」

 人には頼らない。
自分のことは自分でする。老いの坂を下っているのだ。
いつまで強がって生きられるか?未知数である。

 土根性婆さんでなしに、意地悪ばあさんになりたかった。
むかしテレビで見て、婆さんの頭の回転に感激したものだった。




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