第15話 全て過去

文字数 647文字

 長男は既にギターを弾いていた。
情操教育は、小さい時からしなくてはと、
2男は一番小さいバイオロンを持ち兼ねて、小さい
丸い手で3歳の頃から引いていた。好きも嫌いもない。
夫の強制であった。就学すると友達に誘われて算盤と
習字と習い始めた。私は好きにさせていた。
 バイオロンが大きくなり、3台めの頃、子供だけで野球を始めた。
ボール投げをしていたのがいつの間にか、チームに膨れ上がった。
野球少年の始まりである。

 父兄から監督もコーチも出て背番号7番で外野を守っていた。
大きな当たりを狙い。いつも監督に注意されていた。

 今に上手くなって、甲子園で長嶋監督の目に留まり、
巨人軍に入る。野球少年の夢は果てしなかった。次男は見果てぬ夢
に終わったが、チームメイトから3人、本当に甲子園の土を踏んだ。
 夏の中学県大会で優勝を逸した。反省会でトラブルが起きた。
夫は次男を退部させ、強引にボクシングへの道をつけていった。

 最もハングリー精神を問うこの世界でのし上がるのは、夢のまた夢。
夫が私財投げ出して建立したジムの、オープン試合に二男は敗れた。

 ジムは夫の楽しみになったが、二男の姿はなかった。
夫の没後、3年間、私はジムの会長を務めた。

 試合に遠征するときなどは、礼儀正しく挨拶にきた。
スポーツする子の、爽やかさに目を細めていた。

 女の手には負えないと悟り、3年後ジムを閉鎖する。
閉鎖はしたが名前は累々として今も残っている。

 少々お脳が弱くなってきたのか?
いくらか過去と重複したところがある。
お許しあって、ご笑覧あれ。





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