第39話 この指たーかれ

文字数 446文字

 木曜会を再開させたつもりではないが、9日の木曜日。
今度こそ終の住処のマンションへ仲間が全員集合した。
 脳も体も老いて、動きが悪いので前日から接待の準備をしていた。
 久しぶりにボーセの鮨、鯵の姿寿司と鏑の三杯漬け、オカラを
作った。オカラの好評に、50年も昔の惣菜を売ったころを思い出し、
私のおしゃべりが、しばらく止まった。
 来客を計算していないので、調度品は何も揃っていない。
インスタントのコーヒーコップが足りなくて、しくなんだ。
まだ現役の人もいて、2時間の大笑いのランチはアッという
間に終わった。
 いつと言う確約は出来ないけど、また会いましょう。
 みんな満足して帰った。
 このメンバーに会うと、ここ3か月のうねりを重ねたあの悲哀
は何だったのだろう。息子の言う、夢だったのか?
「施設が悪いと言うのではないけど、あなたは続かんと思ったわ」
異口同音に言われ、自分の協調性のなさを改めて知る。

 「木曜会は去年解散しているのよ」と言いながら来年もまた
 「この指たーかれ」と言いそうな気がしてならない。

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