第53話 魂と身体

文字数 827文字

 健全な心は健全な身体に宿る。
全くその通り、食中毒で体調を崩してからこの方、魂の行き場が
なくて宙に浮いている。
 貧乏人の子で、働くことが第一に育てられ、それが身体について
私という人間を構成しているから、コマネズミのように動いていると
自己満足している。それが世のため人のためだなど、関係ない。
草抜き、古着の厚生でも、整骨院通い、旅行でも、なんでもいい。
明日の予定が空白でない限り良い。
「空白になるとお前、ただ息をしているだけか」と言う」誰が言う?
 
 新しい思いつきが浮かぶと、いそいそと楽しくなる。それが不良に
終わっても、高揚する気持ちを味わったんだから、それでいいのだ。
なす事がいっぱいの老後設計だったのに、どこで狂ったのか
いまさら軌道修正はできない。

 3回めのワクチン接種日が明日に迫った。転ばないよう、風邪ひかないよう。
パーマをかけたいけど、大事の前だと諦めてひたすら明日を待つ。

「早すぎないように時間厳守で来てください」電話が入った。分読みで計算して行く。
「腕を出して。はい終わりました」「あと過激なことをしないように」

 あとは、熱も出ないし、不具合は何もない。緊張したのが嘘のようだ。
 これで少しは安心かな。
 オミクロンの終息を願うばかりである。2/12

ところが、翌日になって少し熱っぽい。そのうちに治るだろうと
 無視していたら、38度になった。微熱には強いはずだが、頭も少し
 痛い。注射の副作用と承知しているが、夕方には身体もしんどい。1/13

  楽しみに待っていたトランプの日である。検温は37度。
 息子は「休みなさい」と言う。私は少々無理してでも今日ばかりは行きたい。
 月曜日でおばちゃんがきたが、食事は不要と断った。幸か不幸か食欲がないのだ。
  ガレージが遠いので車を取りに行く気がない。最近は殆ど車を動かしていない。
  迷った末にタクシーを予約したら「さあ行くぞー」と気が盛り上がった。

















いまさら軌道は修正できない。このままで
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