第40話 隔世遺伝

文字数 413文字

「ピーナツが沢山取れたから贈ろうか」
東京のど真ん中に住んでいる孫娘からの電話である。
「ありがとう。でもいらないわ、他に何が取れた」
「小さいけど、白菜、カブに人参もできた。除草が
大変で今は寒くて草取りもできずそのままにしてあるわ」
「草と共存共栄ってとこね」
「そうそう、その通り冬には冬の草が生えてくるのネ」

 山川草木に癒されている自分には農耕民族の血が脈々と
流れていると思っているが、娘や息子は土に親しむ事は、
論外で、屋敷の草も抜かない。

しかし、孫は私と同じく自然が好きで土に親しんでいる。
貸し農園を見つけて、生きがいのように仕事の合間にせっせと
農園へ行くという。長期の出張の時は、父親に頼むというが、
父親も農は不得手らしい。

 孫が同じことを好む。これって隔世遺伝と言うのかしらね
この孫、去年も竹の子掘りに来た。山桜をこよなく愛でた。
今年は祖谷奥にかかるゴンドラに乗りたいと言う。

 どの孫も同じだけど、この孫が一番身近に感じる。

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