第14話 霊能者

文字数 565文字

 夫の没後、三Fの広い家に、花子と二人?で暮らしていた。
そのころから、霊能者に異常に憧れ(興味)を持っており、
霊能者と聞けば、県内はもちろん、県外までも足を伸ばしていた。

 お告げは十人十色で、いよいよ迷いが深まっていった。
郡の山奥に菊の御紋を挙げていて、霊能者と自称するお爺さんが
いた。月に2回の祭礼には、100人ほどの信者が集まった。
このお爺さんは先生と崇められていた。先生の意とするところは
先祖供養であった。戒名であったり、先祖代々であったりしたが
個々に名前を書いたお料具をお供えしてくれた。
 最初はこれで先祖供養ができたと、喜んでいたのだ。

 山の中なので水がない。洗い物に使う水は、樋を引いて雨水
を余すとこなくためていたが、飲料水は、山道の途中にある湧き
水を、各自体力に合わせて持ち上げていた。
登るだけでも苦しい山道。その上、飲料水を運ぶのである。
それだけでも大きな修行であった。

 土用のある日、ごま供養があり山中で大胡麻を焚いた。
風が出た。周囲の木に移るかとヒヤヒヤしたが,
先生が印を切ると摩訶不思議?焔は上へ、上へと昇った。

 その頃から膝が悪ったのだ。下山の度に痛んだものだ。
その内、信者の中でいざこざがあり、Fも、lも、kや私も、
潮が引くようにお山に登らなくなった。
 あの霊能者は何だっんだろうと、思い出している。
 


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