第44話 うっかりばあさん

文字数 680文字

 二日前から携帯が行く不明になっている。
多分畑の隅の小屋だろうと思い電話して誰かに持って
きてもらおう。その電話がないのだ。誰の連絡先も覚え
ていない。二日も連絡が途絶えたら弟が見にくるわ。
そうだ今日はくるわ。お菓子を確かめて待ったが来ない。
弟とは九十年近く付かず離れず付き合っていると、何もかも
許し合えて、子供以上の面もある。又とない同志である。
待っても同志は来ない。

 土曜日。今日はどうしても息子の家に帰らなくては、
伽藍堂になった自分の部屋にプリンターを置いてあのだ。

 バスの乗車券を忘れた。一瞬取りに帰ろうかと、……。
もう一人の自分が何言ってんの、
いつまで生きている気と言うから、ほんとね。バスに乗った。

 携帯は小屋にあったと息子が持って家を出かける所だった。
携帯を受け取り、家には入らずしばらくご無沙汰だからと
モーニングに。好む席は空いていなかったけど、ゆっくりした。

 帰ったら息子の家の鍵がない
マンションと息子の家と会社の3本一束の鍵がない。
家を出て二時間の間だ。
座り込んで二時間の行動を思い出し描く。どこも思い当たらないが、
バス停へ行ってみた。マンションの管理人室へも、モーニングは、
出る時に確認したのを覚えている。

 「あゝ紛失届出すしかない」
自動車の乗って助手席をふと見ると鍵は、座布団の真ん中に鎮座。

 思い込み、うっかり、慌ての三拍子揃えて、その上物忘れも重なり
笑えない絵になる日々である。
 
「おかん今のマンションにはいつまでも居れんなあ」
「そんなことないよ、いつもはしっかりしているんだから」



 
受け取って、しばらくご無沙汰だからモーニングに行く、
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