第43話 彼杵宿 素敵な若い案内人 長崎街道

文字数 835文字

地名が、なかなか覚えきれなくて、苦労した。ソノギなんて、すらで読める人はいないと思う。多分、当て字か、何か謂れがあるのだろうと思った。高速道路長崎道の彼杵出口を降り、ナビに従い国道205号線を走る。ナビが目的地周辺とし、左折を指示する。車の通りも多く、[進入できない細道だろう]と判断し、先の信号を左折することにした。曲がった先は、大村湾の海で漁港となっていた。ぐるりと迂回し車を走らせると細い道に入る。更に、曲がると行き止まりとなった。Uターンし、近くの国道添いの銀行の駐車場に止め歩くことにした。道添いの右手に、人の通れる細い道がある。この道は、魅力的な人の通いそうな代物だ。細道は、入り組んだ道とつながる。これは車の無い時代の昔の道に違いない。方向がさっぱり分からくなった。六月上旬の当日は、夏日のような晴で、30度くらいの温度である。昼近くでもある。前方から日傘を差した女性が来る。「ソノギ神社はどの方向ですか」と尋ねた。白いズボンをはいた若い女性で、散歩でもしているのだろうか。「道が入り組んでいますので、案内します」という。老夫婦である私と連れは、若者のあとについて行く。歩きながら、途中の説明をしてくれる。爽やかな印象の娘さんである。「屋根の向こうに見えるのはソノギ小学校です。その向こうに道があり、神社へ行けます」と説明する。まるで迷路のようにグルグル歩く。「この近くに女優の仲里依紗さんの実家があります」と遠くの方向を指さす。私は知らないが、連れは知っているようで「美人の女優さんですね。あなたも美人ですね」というと、「いえ」とはにかむ。「彼女の家は洋品店を営んでいます。時々、こちらへも帰られます」と情報を加える。細道から、漸く、車2台が行き来できる道に出た。この道が長崎街道に違いない。左に曲がった先に緑の高木が見えた。門の前に立ち止まり「ここがソノギ神社です」という。なにかお礼をしたいくらいだ、「態々、有難うございます」と挨拶してお別れした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み