第112話 京都大学の後ろにある吉田山

文字数 855文字

 京都大学は旧制三高といっていたらしい。三高寮歌に「紅もゆる岡の花・・・月こそかかれ吉田山」をどこかで聞いたことがあるような記憶がある。
まさに京大のすぐ後ろに、吉田山があり、かの有名な京都の大文字焼きがこの山で行われている。
 テレビで毎年夏に、火祭りのシーンを目にするが、きっと大勢の観客がこのかがり火を見て、感動に咽ぶのであろう。山の中腹に木を切り倒した跡に、大の字を燃やす焚き木の位置が、薄っすらと見えた。京都は、盛りだくさんの行事があり、1年位住んでみたら、どんなにか楽しいだろう。まあ、金があればのお話しではあるが。
兼行法師所縁の吉田神社を訪ねてきたのだが、思わぬ有名所との遭遇に、さすが京都は奥深い歴史の都だと思った。吉田兼好を探し回らなかったら、この優雅なる地に立ち寄ることはなかっただろう。
 「ネットには偽情報も多くあるから、よく選別しながら、読む必要がある」と、朝日の元記者の先生が言われていたのを肝に銘じながら、旅を続けている。吉田神社の神官から、当神社は吉田は吉田だが、吉田兼行法師とは縁もゆかりも無いと、断言されたときは、ショックだった。たしかに先生がいわれたように、ネットで見た情報はフェイクであったのだ。
 落胆しながら京都大学の正門前を通り過ぎる。厳かな学舎と正門が胸を張りそびえるように建っていた。この名門大学へ入ることを許されるのは、天下の秀才だけである。地元の人でも、近いからといって京大に入学させてもらった人はいないだろう。全国選りすぐりの若者だけだ。
丁度京大の別の出入り口から出てきた青年がいたので尋ねたに「京大生さんですか」と。「いいえ違います。国家試験を受験しにきたのです。IT関係の試験です。大学もIT関係の学校です」という。大学生だけしか入門できないわけでもないのかと安堵しながら、「これからの時代の先端をいく学問はITですよね頑張ってください」と、すこし親近感を感じエールを送った。田舎のオジサンにも気軽に答えてくれる京都の青年に、大変好感を覚えたのであります。
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