第117話 長泉寺に兼好の墓が

文字数 703文字

オムロン公園から4軒先の右側、小さな寺の門前の植え込みに、吉田兼好の塚があると、御影石の碑が表示している。多分、近年作られたものだろう。人も車もあまり通らない。月曜だからなのだろう。長泉寺へ門の木戸をあけ入り、呼び鈴を押すが応答なし。しばし待っていると、寺に入って来る着物姿の老女がいた。事情を離すと、彼女は「私はお茶の師匠をしており、今日は部屋を借り、御稽古をするために来た」と言う。「住職は仕事で名古屋に行き今日はいないけれど、わざわざ遠くからこられたので、どうぞ入ってください」とお墓の方鉄の扉を開け、あそこの墓地にありますという。許可を受けたので、墓地へ入って行った。木々に囲まれた一角に、墓石が両側に数個並んでいる。奥の方に高さ50cm程の丸い石がある。石は年月が経ち苔も生え風化し吉田兼まで文字が見え、好は見えにくい。いつの時代かは分からないが、間違いなく吉田兼好の墓だろうと思った。横にも何か書いてあるが、風化し判読不可。住職聞ければ一番だが不在。道路沿いの民家は、どの家も留守であった。元の道を戻り、踏切を越えしばらく行くと、右側におむろ小学校の門があり、植え込みに寺の石碑と同じ御影石があった。犬の散歩中の背の高い女性に聞いた。「妙心寺にも兼好法師の遺跡がありました。いや私の思い違いかもしれません」という。タクシーがちょうど来たので、釈迦千本寺に行ってもらうことにした。車内で運転手は、私は御室諸学校の近くに実家がありまして、あの山に兼好が住んでいたという昔話もあり、何か残っていると教えてくれた。時間があれば戻って聞きたかったが、次の大報恩寺と上賀茂神社へ行く予定があるので断念した。
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