第69話 原町の豪壮な古民家群 唐津街道

文字数 920文字

 唐津街道の赤間宿から畦町宿の途中に、小休み所として「原町」がある。
 小休み所は長崎街道の「小竹」にもあった。巨象やキャピタンや有名人が歩いて通った道だった。唐津街道は珍獣などは通らなかったが、参勤交代の行列や商人が多かった印象を受けた。
 掲示板には原町の江戸時代の通りが表示されている。宿場ではないのに、屋根瓦の入り組んだ見事な日本家屋がある。間口は税金の関係で狭いが奥へ長く建物が続く。6軒位の古民家が並ぶ見事な眺めである。宗像市が宿場の雰囲気が漂う建物群を「旧跡の保存地区と指定」し、補助金も出し整備している通りである。
 眞武さんという表札が多く親戚になるという。中村画伯の旧家もあり、眞武家から嫁入りしているという。 近所の悪口はご法度のようだ。「宗像古美術 楽市楽座」という看板のある古物商の女主人にお話を聞いた。全国展開のゲームセンターとは違う25年前から独自にご主人が始めたという。
 建物は贅沢な2階造りで、本家が造り酒屋で大きな商売をしていた。明治中頃に新築した建物だが、全体がそのまま残っている建物は初めて見た。古物商で「営業中」と小さな看板があったので、風流な玄関から家に入った。
 手前の4部屋は骨董品で埋め尽くされている。家の中も重厚で、前の部屋に床の間と庭がある、後ろの部屋も床の間があり裏庭が付いている。奥にも部屋が続く大きな家屋敷である。
 最初は自宅の骨董品を売る事から始めたが、古物の免許を取り、買い集め商売をしているという。本家が造り酒屋で大きな商売をしており、お客さんを宿泊させる目的で別邸としてこの家を建築したという。全国から泊りがけで客も来たのだろう。
 玄関を入った奥の部屋は吹き抜けで2階の天井が見える。2階廊下へ昇る階段まで付いている。
奥の続き建物は家族生活のため現代風に改造し居住され、立ち入り禁止である。「建物が古いので偶にムカデが入るので嫌だ」と女主人は仰る。明るいさっぱりしたいい人だった。骨董品の話から、家の成り立ちから、後継ぎの話から、いろいろ気さくに話して頂き、有難かった。
 「向かいが本家になり、現在は蕎麦屋をやっているので行って見たらどうですか」と薦めてくれた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み