第119話 宗像の古民家カフェレストラン夢季家(ゆきや)

文字数 1,164文字

5月1日、連休でも何処かへ行く当てもなく、相方と気晴らしにドライブ。外気を吸い緑の山並みを見たいと思った。宗像市朝町に「古民家フレンチカフェ・夢季家」というのを、ネットで見つけた。「今日は日曜だし、お客も多いだろうが、どんな所か見に行こう」ということになった。田圃の広がる田舎道を行き、山際に車1台通る細い道の先、広い庭に数台車が止まっている。二階建ての古民家が堂々と存在する。玄関を開けると、土間に昔風のダルマストーブがあり煙突が天井へ伸びる。部屋のガラス戸は昔風のすりガラスで手の込んだ造りである。「丁度、空席がありますのでどうぞ」という。室内に入ると、先客が二組居た。室内は大きな梁が横たわり天井が高い。古い掛け時計、床の間に長押の大きな木箱がある。床板は鈍色に光り、真ん中に囲炉裏があり蓋が閉めてある。仕切り戸の向こうに廊下があり、外ガラス戸は戦前のガラスで景色が歪んで見える。きょろきょろ眺めていると、係の女性が水を持ってきた。「良い古民家ですね。私はブログを書いています」と言うと「どんなブログですか」と訊ねてくれ、名刺を渡した。すると、「私はオーナーの木村です。後で名刺を持ってきます」と言う。廊下の先に二部屋あるようだ。オーナーは「隣の部屋のお客様がお帰りになったので、御覧になりますか」という。廊下を渡ると、ガラス越しに、庭と森が見える。落ち着いた雰囲気で、お金持ちの別宅のようだ。今日はお客も多く忙しので、オーナーも手伝いに来たらしい。古民家の家の歴史を話してもらった。105年前の建築で、昔は農家の住居だったという。多分、金持ちで庄屋でもされていたのかと推測した。10年前、フィナンナンシャル会社に譲渡され、来客接待用に使われていたという。オーナーはIT関係の仕事をされ、会社のホームページを作り、それが縁でのお付き合い。家を賃借し、料理人を雇い、昨年7月にレストランカフェとしてオープンした。地元宗像の農家の野菜を使い、肉は糸島産、卵は貴黄卵と、料理内容を店員が丁寧に愛想よく紹介する。開業し間もなくの頃、4人連れのお客さんが来られた。老齢のご婦人が室内のあちこちを見て回られる。聞くと、昔の家主さんだったという。「子供達をこの家で育てあげました。懐かしい」と感慨にふけっていた。いまは息子さん家族と一緒に市内で住むらしい。鴨居の上に先人訓という文が飾ってある。「年をとったら出しゃばらず、憎まれ口や、泣き言に、愚痴を漏らさず、陰口きかず、他人のことは褒め・・・ボケたら駄目、何か一つ趣味を持ち、長生きしましょう」どなたの考えか分からないが、引き付けられる書きものだった。リッチな古民家の雰囲気を感じさせるレストランである。
宗像市朝町1718-2 11時半から16時 電話0120-623-463 夢季家
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